マダガスカル貿易・輸出の基礎知識(2025年更新)

今回はマダガスカルの貿易、輸出の基礎知識について整理していきます。

マダガスカルの基本情報

マダガスカルはアフリカ南東部沖に浮かぶ世界で4番目に大きい島国で、日本の1.6倍の国土を持っています。より具体的なマダガスカル共和国の概況については下記のようです。

項目 内容
面積 58万7,041平方キロメートル(日本の約1.6倍)
人口 約2,843万人(2021年、世銀)
首都 アンタナナリボ
民族 アフリカ大陸系、マレー系(主な部族:メリナ、ベチレオなど約18部族)
言語 マダガスカル語、フランス語(ともに公用語)
宗教 キリスト教、伝統宗教、イスラム教
政体 共和制
議会 二院制
通貨 アリアリ
主要産業 農林水産業、鉱山業、観光業
GDP 146億米ドル(2021年、世銀)
一人当たりGNI 500米ドル(2021年、世銀)
経済成長率(GDP) 4.4%(2021年、世銀)
物価上昇率(インフレ率) 4.2%(2020年、世銀)
総貿易額 輸出:19.6億米ドル/輸入:32.3億米ドル(2020年、世銀)
主要貿易品目 輸出:バニラ、ニッケル/輸入:石油、米(2020年、世銀)
主要貿易相手国 輸出:フランス、米国、ドイツ、中国、オランダ
輸入:中国、インド、フランス
アラブ首長国連邦、南アフリカ(2020年、世銀)
経済概況 労働人口の約74%が農業に従事する一方、農業がGDPに占める割合は24.7%(2016年、EIU)にとどまっており、生産性やインフラ整備が課題。

2009年の政変以降、主要ドナーからの援助停止や外国投資・観光客の大幅な減少により、マダガスカル経済は長らく停滞していました。しかし、2016年以降、IMFによる迅速信用供与(RCF)が導入され、世界銀行や各国からの支援も再開。日本も、主要な輸出入拠点となるトアマシナ港の拡張事業を円借款で支援しています。

現在、マダガスカル政府は観光業、農産品加工産業、鉱業などの産業振興を重点政策として掲げ、経済立て直しを進めています。

また、日本企業が筆頭株主となっているニッケル・コバルトの一貫生産事業(アンバトビー鉱山プロジェクト)は、引き続き同国の外貨獲得や雇用創出の中核を担う存在として期待されています。

対日貿易については、以下のような状況です(※2020年時点、財務省「貿易統計」より)。

・貿易額:

輸出:193.7億円

輸入:14.3億円

・主要品目:

輸出:ニッケル、コバルト、香辛料(バニラ・クローブ)、衣類、魚介類

輸入:自動車、医薬品、ゴム製品(タイヤ等)

・日本からの進出企業数:13社(2020年10月時点)

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マダガスカルの貿易

貿易収支の推移

マダガスカルの貿易をめぐる状況は、以下のように変化しています。

・1970年代半ばまでは黒字が継続していましたが、1978年に貿易収支が–9%に転じ、その後ほぼ毎年赤字が続いています。

・特に2000年以降、赤字幅が拡大し、2009年には–22%と最大の赤字を記録しました。

・その後は徐々に改善し、2019年には–6%程度まで縮小。

・2023年には–6.53%(GDP比)で、依然として赤字が続いているものの、2009年ほど深刻ではありません

UNデータを基にした国際比較でも、2023年の貿易赤字はやや拡大しているものの、長期的には改善傾向と言えます

マダガスカルの輸出・輸入の構成

次に、マダガスカルの輸出・輸入の構成について具体的に見ていきます。

はじめに1990年以降のマダガスカルの輸出品の構成についてです。

下記のグラフから読み取れるように、マダガスカルはもともと1. 農林水産品・食料品が大部分を占めていましたが、1990年代半ばからは5.繊維・アパレルが拡大し、また、2010年代には7.金属製品の輸出が盛んになりました。

2019年の輸出の構成は、1. 農林水産品・食料品が38%、5.繊維・アパレルが20%、7.金属製品が21%、残りが21%となっています。

(参考:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している。)

また上記の10分類を100分類弱に細分化し分類の上位5品目を取り上げたグラフを見ると、マダガスカルの最大の輸出品が9.コーヒー、茶、香辛料であることがわかります。

(参考:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。)

具体的にはバニラとグローブ(チョウジ)でそれぞれ輸出全体の22%、3%を占めています。

また、2012年以降拡大している75.ニッケルはAmbatovy鉱山から算出されたものと思われます。Ambatovy鉱山は日本の住友商事、韓国のKores社グループそしてカナダのDynatec社により共同開発されたマダガスカル初の大型開発鉱山で、ニッケルのほかコバルトも産出しています。

 

次に1990年以降のマダガスカルの輸入品の構成について見ていくと、2019年の輸入の構成は、8.機械が21%、2. 鉱物が20%、1.農林水産品・食料品が17%、5.繊維・アパレルが16%、3.化学製品が13%、残りが13%であることがわかります。

(参考:UN comtrade. 注:HSコードの最も粗い21分類を10分類へ集計している)

 

同じように輸入品の具体的な商品を見ていくと、2019年では27.石油天然ガス等が17%、84.一般機械が8%、87.自動車、85. 電気機械がそれぞれ6%と5%となっており、油田が確認されているのに関わらず、開発がまだ進んでおらず、現状ではエネルギー資源をほぼ輸入に依存していることがわかります。

 

(参考:UN comtrade. 注:分類名称の数字はHSコード2桁を表す。)

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貿易相手国の構成

次に2019年の貿易相手国を分析していくと、マダガスカルはもともとフランスの植民地であったこととの関係もあり、最大の輸出相手国はフランスで輸出全体の20.2%に相当しています。2番目の貿易相手国はアメリカで19.8%です。なお、上位10カ国で輸出の77%、上位30カ国では98%を占めており、日本は6.2%で上位4番目となっています。(参考:UN comtrade. )

 

一方で、最大の輸入相手国は中国で全体の17.5%を占め、2番目にフランスが全体の12.8%を占めていることが分かります。また上位10カ国では67%、上位30カ国では86%を占めており、日本は0.5%で上位30番目となっています。

まとめ

 

今回の記事で解説してきたように、マダガスカルの貿易においては以下の特徴が挙げられます。

  • 基本的には1980年以降貿易赤字であり、特に2009年には-22%の貿易赤字となり、2019年は-6%まで縮小しています
  • 主な輸出品はバニラ、ニッケルであり、主な輸入品は石油、米です(2020年:世銀)
  • 主な輸出相手国はフランス、米国、ドイツ、中国、オランダであり、主な輸入相手国は中国、インド、フランス、アラブ首長国連邦、南アフリカです(2020年:世銀)

 

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